ジース＆バータについて



個々についてはすでに語りましたので、今度はコンビからこの２人を考えてみたいと思います。

◎そもそもDBでは

以外に、作中で「ほぼ同等の力を持った」コンビは少ない。
そもそも序盤の「天下一武道会」のルールからも、彼らはタイマン（１対１）を好みます。味方サイドになると、コンビまたはそれ以上の複数でのバトルはありますが、敵サイドで複数で手を組んでいるのは極めて珍しい。

そもそもフリーザにしろベジータにしろ、敵サイドは仲間意識が皆無。
唯一人造人間は複数で行動していましたが、バトル自体はタイマンでした。

その中で仲間意識が強いギニュー特戦隊、
特にいっしょに行動しているこの２人は作中でもかなりレアだと思われます。

◎先に名乗り出るのは

５人そろって名乗る場合は、リクーム→バータ→ジース→グルド、そして最後に隊長という順番。
つまりジースよりバータが先に名乗り出ます。

しかし、２人コンビになると
原作２４巻、２８１話「対決！！ジースとバータ」とジースが先。２７７話の表紙でもジースがバータより上にきています。
当時のアニメでも「赤と青の光球！ジースとバータが悟空を襲う」とこちらもジースが先。

例外が、アニメコミックスの第１４章「対決！！バータとジース」
登場人物でも「バータ＆ジース」となっていますが、基本的にはジースが先だと考えるのが妥当。

（※ちなみにＤＢＺアニメ全２９１話中、「ジースとバータ」の視聴率はなんと２５，７％の８位。グルドメインの「超魔術かトリックか！？Mｒ.グルドが起こったぞ！」も同率８位。上位がほとんど２００話以降のブウ編だということを考えると、かなりの大健闘。
ギニュー隊長も、登場している話で２５位〜２７位…但し、リクームは残念ながら圏外。）

◎先に名乗るということは

「コンビ」とあっても（ただのツインズコンビならば話は別ですが）、お互いに個性のあるキャラ同士になると、その２人が同等に扱われることは極めてレアです。大体は片方に重点が置かれて、もう片方はサブにまわります。


こんなことを考えたのは、「少女漫画版ＤＢ」と勝手に命名した「ふたりはプリキュア」というアニメからで。タイトルに「ふたりは」とあるので主役はその２人になるのですが、内容は明らかに片方に重点が偏っています。

ここでは、女の子向けのアニメ作品として大ヒットした無印（またはＭａｘHeart）に絞ります。
最初からなぎさ（ブラック）視点で話がはじまり、お決まりの「これまでのお話」はなぎさの独り言から始まります。MaxHeartになると、なぎさメインの話が大半を占め、一方のほのか（ホワイト）は完全にサブにまわっている状態。
設定でもなぎさは（学園モノならこれは外せない）先輩への片思い恋愛ネタがあるのに対し、ほのかは皆無に近い。

２人が主役とはあるものの、なぎさがメインでほのかはサブ。
名乗る時や登場人物紹介もなぎさが先、ほのかが後。

コンビとあって、ふと頭に浮かんだこのアニメ作品。
そしてコンビのジース＆バータ・・・この２人も同じことが言えるのではないかと。

◎メインとサブ、主導権

以上のことを考えていきますと、このジース＆バータ。
ジースがメインで、バータがサブ。
原作でもアニメでもそれを意識して製作されています。

まず、主導権を握っているのはジース。

原作２４巻のP66「いくぞっ」
その次「とうっ」といって飛び出しますが、ジースが前。
そのあとの、P68。
敵である孫悟空と向きあうのもジース・・・そのせいで、顔面にパンチをくらって鼻血ダラダラになんですけれども（笑）。尚アニメオリジナルでも、天津飯から最初に攻撃を受けたのはジースでした（ちなみにバータは呆然としているだけ）。

アニメではオリジナルの場面が増えたこともあり、かなり明確にジースが主導しています。
いくつかピックアップ。


バータ「おいジース、遊びすぎだぞ！！」
ジース「ん？お前こそ一発や二発当てたっていいんだぜ！！」
バータ「お・・・おう。」

バータ「おい、ジース！！パープコメットクラッシュで行くぞ！」
ジース「パープルコメットクラッシュか・・・そいつはいい。よし！行くぞバータ！！」
バータ「おう！！」

（原作でもありました）バータがジースにクラッシャーボールを撃てと促すのは勿論アニメでもあります。全体的にバータは「これをするぞ」という提案は行うものの、ジースとの同意によって初めて行動を起こすようです。

◎ジースとバータの違い

では
メインとサブに分けられたところで、一体何がどうなるのかと。

ジースがメインになっているということで、ジースの心理状態の描写がはっきり描かれます。そこでアニメでは、ジースの心理状態に原作にはないオリジナルをほうりこんでいる。対し、サブのバータは原作の域を超えていない。


２４巻、対孫悟空。

２人に共通していることは、スカウターの数値に固執していること。孫悟空の一瞬であげている戦闘力にまったく気づかず、完全にみくびっている点。
数値で勝っているはずの相手に攻撃はまるで効かない上に、手も足も出せない状態。この辺から、ジースとバータの内面の違いがどんどん現れてきます。

バータは原作と同じく、まるで孫悟空が強いことを信じていません。
自分たちの攻撃が当たらないことはただの妙な偶然（みたいなもの）だと思っているし、
アニメでも「そのうちに倒せるぞ！」と最後まで言っていたり、簡潔にいうととても楽観的。

対し、ジースは悲観的。
スカウターが示す数値と現実のバトルとの差に、どんどん疑問が生じてきています。突然、孫悟空に怯えを覚えてしまい攻撃をやめてしまう場面があり、パープルコメットの技を出した後も「これで倒せた！」とは言わずに「なんだどうなった？」（細かい話をすると、ジースは汗ダラダラだけれどバータはただ睨んでいるだけ・・・ここにも違いが）。
だからこそ最後の「あんなザコにふりまわされてたまるか」という台詞が、どうしようもないやけっぱちな悲壮感が漂うわけです。

バータに比べてヘタレと言われればそれまでですが、ある意味で現実から目をそらしていない点では賢いともいえます。
原作でも、孫悟空の登場の際に自他共に認めるバータの宇宙一のスピードに「あの野郎、お前（バータ）より速いんじゃないか？」と言っている辺りから、根底は賢いんでしょうね・・・それだけにプライドの高さが勿体無いような。